漢江のほとりで待ってる
それぞれの思惑
由弦が去ったあと、
「Game Over!これであいつは完全に終わりだ!」
慶太が強気な笑みを浮かべて笑った。
冷めた目をしていながらも、仕事に対して情熱に溢れていた、あの以前の凛々しかった慶太から面影もない。
「これが目的で私に一晩一緒にいろ!とおっしゃられたのですね!副社長!」
「ふん!見たかね?あの後ろ姿、情けない姿だった!我が弟ながら不甲斐ない!」
また雅羅から、
「珉珠さん、あなたは慶太のそばにいる方が賢明だと思うわ。あなたのお母様のためにも、そして由弦さんのためにも」
「!?母に何をしたのですか!母に何の関係があるのですか!彼まで傷付けて!それでも飽き足らず関係のない母まで巻き込んで!」
「ふふ!すぐに分かるわ?これでよかったって。それに、年下の男なんて頼り甲斐がなくてよ?さっきも何一つ言い返すこともなく、出て行くのが精一杯だったじゃない?ふっ、あれで仮にも後継者!?慶太と張り合うなんて笑い話もいいところだわ!」
「青木君、落ち着きたまえ」
「離してください、副社長!」
珉珠は慶太を振り払い、由弦のあとを追った。
「大丈夫よ?慶太さん、彼女はすぐに戻って来るわ」
―――― 珉珠さん、あなたにはもはや、選択肢はないのだから
雅羅の思惑が珉珠を捉える。