漢江のほとりで待ってる


由弦を追いかけたものの、どこをどう探せばいいか分からない珉珠。

彼のスマホに電話してみるが、応答はない。

「由弦どこにいるの!」

雨脚が強くなり、余計心配になり焦る。

別の場所で由弦は、横断歩道で信号待ちをする人に紛れ、びしょ濡れで突っ立っていた。

何度も何度も信号は変り、その度見送った。

行き交う人が由弦に好奇な眼差しを浴びせる。

珉珠も雨に打たれながら街中を走り回った。

時間は二人を引き合わすことなく、片方は泣く泣く部屋に戻り、もう片方は気付くと自分の部屋に帰っていた。

お互いやり切れない気持ちのまま、ずぶ濡れのジャケットを脱いだ。


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