漢江のほとりで待ってる
副社長室では、
「来月弟の誕生日なんだ。就職祝いを兼ねて何かプレゼントしようと思っているのだが、大人になった弟に、正直何を選んでいいか分からない。よかったら一緒に選んでもらえないだろうか?」
困り果てる慶太に、
「お役に立てるかどうか分かりませんが、ぜひ! ご一緒させてください」
仕事以外に見せた慶太の素顔を垣間見た気がして、珉珠は嬉しくなった。
その日の夕方、他の二人と現場で別れ、会社に戻ろうと街中を歩いていた由弦。
立ち並ぶ一軒の店に目が留まった。
するとそこに、慶太と珉珠の姿があった。
何やら楽しそうに選んでいる。
それを見た瞬間、心に衝撃が走った。
二人の世界に誰も入り込めないような感じがして、それに何よりもお似合いだったから。
「オレ、まさか嫉妬してる? はっ、有り得ないし! 失恋したばっかりだぞ? でも何でこんなにも胸が詰まるんだろう……」
会社に戻ってからも二人の姿が頭から離れなかった。