漢江のほとりで待ってる


デートの日。

小洒落たレストランで食事をする二人。

美味しそうに食べる由弦に、思わず笑みがこぼれる珉珠。

ただ由弦の食べ方を見て、以前、仕事でお客様との会食で副社長と食事をしたことを思い出し、その姿を慶太と重ねて、テーブルマナーはしっかりされてる、やっぱり大企業の御曹司だと感心した。二人は正反対な性格に思えるものの、ちょっとした立ち振る舞いはスマートで、やっぱり兄弟なんだと思えた。

「好き嫌いはあるんですか?」と珉珠。

「ん~、タコの酢の物?酸っぱい系とか苦いもの系が苦手かな。でも、基本出されたものは何でも食べます」

「好きなものは?」

「これと言ってないかな?あ!ポテト、コーンバター!一番好きなのはさくらんぼ!」

「主食じゃない……」

「それじゃぁ、青木さんの好物は何ですか?」

「私は~おでん!あとトッポッキって知ってる?韓国の料理なんだけど、柔らか過ぎず硬過ぎず、あの触感が好き!」

「へぇ~意外だな?おでんか~。もっとオシャレなもの好きかと思ってた。それとトッポッキ?知ってるよ?本場で食べたことあるから」

「本場で!?日本で売られてる味と違うでしょ!?美味しかったでしょ?」

「うん!甘辛くて美味しかった!」

珉珠は由弦の答えにうなづきながら、

「専務は、休日何をされてるんですか?」

「休みの日は~、ドライブしたり、図書館に出掛けてみたり、散歩したり」

「ドライブ?素敵!図書館?本が好き?」

「好きと言うか、調べものあると行ったり、あの静かな空間が好き!ドライブは気分転換になるしね?今度よかったら~」

「副社長もたまには気分転換に外出されればいいのに~」

自分の会話を遮って、慶太の名前を出した珉珠に、少し不満を持った由弦。

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