漢江のほとりで待ってる
キミがいない
「由弦!分かる?」必死に問いかける珉珠。
医師たちも駆け付け、その様子を見た。
由弦の意識が戻ったと聞いて、一条達も駆け付けた。
「ん……」
「分かりますか~!」医師の問いかけに、
「ん……」目は虚ろなものの反応した由弦。
「分かる?由弦?」
「……」珉珠の方を見た由弦。
「右手を挙げてみてください」医師が言うと由弦は挙げた。
「瞬きしてください!」これにも反応した。
「意識戻りましたね」と医師の言葉に一同安堵した。
「ん~……」まだ少し朦朧とする由弦が、体を動かし顔を苦痛に歪ませる。
「どうしたの?由弦、どこか痛いの?」と珉珠。
「体が……痛くて動かない……足が……」由弦は、途切れ途切れに言葉を発し、暴れ出した。
慌ててみんなで由弦を抑えた。
珉珠は、骨折して固定されている左足を見た。
「大丈夫よ!由弦!」珉珠は由弦をなだめた。
「痛み止めが切れたみたいですね。現時点で言語障害はなさそうです。改めて検査してみないとはっきりとは分かりませんが」と医師。
「高柳!分かるか?」一条が話しかけた。
「ん~……」まだはっきりと答えられない様子の由弦。
少しすると落ち着いたように、大人しくなった。
そして、しばらくすると、虚ろだった目が、しっかりと開いた。