漢江のほとりで待ってる
弦一郎は、全てのことを、マスコミに話す決意をした。
「この度は、皆様に、多大なご迷惑とご心配をお掛け致しましたことを、心より深くお詫び申し上げます。そして高柳グループ一丸となって、信頼回復に努める所存でございます」
事件の発端となった理由は、全て自分にあることや、クリストファーを巻き込んだ盗作の件、自分や息子達の確執、また、不倫という文字は、自分が背負うべきで、誰に対しても不誠実だった自分を詫びた。
妻の雅羅や執事の椎名は、そんな自分に巻き込まれただけで、犠牲者であること、そして、一番の被害者は息子達だと主張した。
全ての原因は自分にあると何度も強調した。
それと、
「何よりも、高柳を信頼し、支えてくださったお客様に、心からお詫び申し上げます。そして私、高柳弦一郎、責任を取り、社長の職を辞任致します」
記者からの非難を浴びながら、最後に深々と頭を下げた。
しかしながら、この弦一郎の辞任発言については、高柳グループ全体や、株主までが反対をした。
「今社長が辞めれば、余計混乱を起こすだけ!責任を取って辞めるのであれば、信頼回復をしてからではないのか!責任を取るという意味を履き違えている!」
また、
「今の慶太氏では罪の償いも浅く、まだまだ未熟だ!由弦氏においては、まだ事故からの怪我すら治っていない状態!こんな状況下で社長は逃げるのか!」
との声が相次いだ。
何が一番解決策か、弦一郎は悩みに悩み抜いて、古い友人や、各大企業の代表取締役らにも相談した上で、多くの後押しを受けて、続投する意を決意した。
これも自分の償いの一つとして、弦一郎は、甘んじて受け入れた。