漢江のほとりで待ってる
次の日から由弦は仕事に没頭した。
何も考えたくなかった。仕事している間は彼女のことを思い出さなくて済むから。
そんなあまり笑わない由弦にいち早く気付いたのが、仲里だった。
「高柳さん、最近元気ないみたいですけど、大丈夫ですか?具合でも悪いんですか?」
「えっ!?そんなことないよ?元気だし、どこも悪くない」
「そうなんですか?それならいいんですけど~、もし何か悩み事があれば言ってくださいね?誰かに言うことで解決することもあると思うんで!」
「ありがとう!でも大丈夫だから」
由弦は笑って答えた。
「仕事終わったら、気晴らしに飲みに行きませんか?」と仲里。
「いいねぇ!行こう!!」
二人の話を聞きつけて、甲斐も割り込んで来た。
「私も連れてってください~!」
「えっ!!あんた来んの!?」
「はい!」
仲里は甲斐とやり取りしながらも、笑ってる由弦の顔が淋しそうに見えた。
仕事に没頭する姿も、哀しそうだった。
「きっと青木さんと何かあったんだ」と仲里は察した。