漢江のほとりで待ってる


二日後、副社長室。

戻って来た珉珠に、

「もう戻って来ていいのか?母上の具合はどうかな?」

慶太は声を掛けた。

「ご迷惑をお掛けしました。はい。今の所落ち着いています」

何も興味を示さない慶太が、自分の母の心配をしてくれることに驚きながらも、少し嬉しかった。

「そうか、それはよかった。ゆっくりして来てもよかったのに」

「ありがとうございます。家にいると、会社にご迷惑だからって、母にも叱られますから」

「ははは。そうか。いや、叱られると言えば、私も由弦に叱られてね?」

「……!?」

「自分の大事な秘書の様子も分からないなんて、もっと気に掛けてやれってね。」

「そんなこと言われたんですか……」

「気付かなかったとは言え、すまなかった。」

「いえ、とんでもございません」

「お詫びと言ってはなんだが、今夜食事でもどうかな?」

「え!?あ、ぜひ……」

まさかの慶太の誘いに驚いたが、確かめたい事もあって、誘いを承諾した。

「うん。ならあとで。そうだ!青木君、由弦にあとでここへ来るように伝えてくれるかな?」

「かしこまりました」

< 28 / 389 >

この作品をシェア

pagetop