漢江のほとりで待ってる


珉珠は、副社長から預かった言付けを、由弦に伝えるため、B.A.Bマーケティング部へ。返さなければならないものもあり、由弦のいるところへ行く用事ができて、また彼女は由弦に会えると思うと、嬉しくて少しドキドキしていた。

実は、母にいい人はいないの?と聞かれた時、気になる人はいると言い掛けた。でも、言えなかった。年下だし、そして彼の告白を断った。その彼に、知らない間に依存している、思いを寄せている自分に、今回の事で思い知らされた。

B.A.Bマーケティング部。

「あら?あなた直々にこんな所に来るなんて珍しいわね?」

そう言うのは課長の江南だった。

「副社長から専務に言付けがありまして」

珉珠は真顔で答えた。

―――― 笑いもしないで可愛くないわね!全く!

そう思いながら江南は奥で作業をする由弦を呼んだ。

由弦は慌てて江南の元へ来た。

「青木さんが大事な話があるそうよ?今ミーティングルームが空いてるから。どうぞそちらで」

江南、二人をミーティングルームへ促す。

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