漢江のほとりで待ってる
部屋に戻ってすぐに由弦に電話した珉珠。
「はい」電話口の由弦、すこし低い声で不愛想。
「今帰りました」
「ふ~ん。おかえり」
「ただいま。まだ仕事?」
「うん」
「プレゼン控えてるもんね」
「うん」
「怒ってるの?」
「怒ってない」
「じゃあ、どうして、うんしか言ってくれないの?」
「ふ~。兄貴と珉珠が一緒だったから!」
「ふふっ。」
「何がおかしいんだよ!人の気も知らないくせに!」
「ごめんね?あなたはほんとに素直な人ね?好きよ?由弦」
「……」
「返事は?」
「ん~。知ってる」
「何を?」
「もう~!オレのこと好きってこと!」
「由弦は?誰が好き?」
電話口で由弦の大きな溜息が聞こえ、少し間を置いて、
「珉珠が好き!」
照れくささ誤魔化すように、怒り口調で答えた由弦。
手に取るように由弦の仕草一つ一つが見えるようで、その可愛らしさが珉珠のハートをときめかせた。