漢江のほとりで待ってる
「うん。私も知ってる。」
「……逢いたいよ」
「じゃ~逢う?」
「無理じゃん!もう自宅でしょ?」
「うん。家来る?」
「何だよそれ!行けないの分かってて言うんだね!オレあなたの家知らないもん!」
「じゃあ、会社まで迎えに行くから、一緒に帰ろ?」
「いいよ」
「どうして?」
「あなたのこと大事に思ってるから。下心だけって思われたくないから!そりゃ~エッチなこといっぱい考えるけどさ?」
「あははははは。うん。分かった。あなたの気持ちとても大事にする!ありがとう。頑張って!それと気を付けて帰ってね?」
「うん。ありがとう。じゃぁまたな?」
「はい。またね?」
電話を切ったあとも、珉珠の心は踊っていた。
今までにないタイプの男性。駆け引きなく自分を素直に表現出来る。
自分でもびっくりするようなことを言ってみたり。
自分の中で固く閉ざしていた何かが開かれて行き、息苦しいものが溶けて行く感覚。
由弦、彼は安心感と温かさを与えてくれる人、彼の前では自分を飾らなくていい。珉珠はそう思った。