漢江のほとりで待ってる
日は変り、B.A.Bの編成チームはクライアントの要望に確実だった。そしてプレゼンの日を迎える。
本社では、クライアントの代表取締役や役員達が集まった。そして慶太と珉珠も同席した。
珉珠は由弦をすぐ見つけ、彼だけを見つめていた。どんな表情も逃すことがないくらい。
いつもは見せない真剣な表情の彼に、さらに惹かれ胸を熱くした。そして誰よりも今日の成功を願った。
由弦は珉珠の姿と視線に気付くことなく、プレゼンが始まった。
CMの商品は炭酸飲料水。
編成チームが実際に、販売前のその商品を飲んで感じた、そしてクライアントが望むもの。
・渇きが一気に潤される。
・懐かしくてどこか新しい。
・心に癒しと体に優しいカロリーオフ!
・ターゲットは四、五十代と十代。
・飲料水も飽和状態でインパクトがほしい!
斬新だけでなく、新旧を融合させた、深みのある、忘れかけていた何かを思い出させてくれるような、それでいて新しい感覚!さらにはどこか涙を誘うような仕上がりになっていた。
クライアントの期待を遥かに超える出来栄え!絵コンテだけでCMが出来そうなくらいクオリティーの高さに、みな絶賛した!
文句なくその場で採用を即決された!
「高柳副社長、さすが弟君ですな!彼の海外での評価が改めて証明されました!また高柳グループの株が上がりますな!」
「いえいえ。ありがとうございます。お褒めの言葉は直接弟に言ってやってください」
称賛される中、慶太の側で、制作チームと喜びあう由弦を見て、自分のことのように喜ぶ珉珠。
「高柳専務!流石です!最後まで宜しくお願いします」
「ありがとうございます。こちらこそよろしくお願いします」
由弦とクライアントはガッチリ握手をしてプレゼンは終わった。