漢江のほとりで待ってる


「珉珠さんの話が聞きたい」

「私の?」

「うん。あなたのことをもっと知りたい」

「何を話せばいいかしら?」

「ん~そうだな~、日本に来たきっかけは?」

「日本に来たのは~父が日本で働いていたからよ?私の父は韓国で公務員をしていたの。でも仕事の関係で父は単身日本へ。何度か父のいる日本へ遊びに行って、日本という国に興味を持つようになって、日本の大学へ行って卒業して、今の会社に就職したの」

珉珠の父は、政府関係の仕事に就いていた。一時期は日本の大使館で働いていたこともあり、その父の影響で珉珠は、日本に強い憧れを持ち、日本の大学を出て今に至る、など由弦に話して聞かせた。

「そうなんだ?今もお父さんは日本で?」

「ううん。韓国へ戻って来てすぐ病気になったの。十年前に亡くなったわ」

「あ……ゴメン」

「ううん?気にしないで?もう落ち着いてるから」

「お母さんもこの間倒れられたから、心配だね」

「そうね。先延ばしになんて考えてられないわね……」

「韓国へ帰るってこと?」

「すぐにってわけには行かないけど、いずれそうなるかも」

「そか……」

「その時には、一番にあなたに相談するから。勝手に消えたりしないわ?」

「うん!」

それから、話は珉珠の幼い頃の話や、どこに住んでいるかなど、話は盛り上がった。


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