漢江のほとりで待ってる
慶太の嫌う親善大会当時。
選手達がマウンドに上がり、整列した。
由弦の所属するマーケティング部の社員達も応援に駆けつけていた。
そしてこの時ばかりは、各企業から集まる精鋭達に、黄色い声援が飛び交った。
慶太はVIP席で高みの見物。珉珠も毎年慶太の側で見物していたのに、今年に限っては、自ら「スタンドで見物したい」と申し出た。
その珉珠、すぐにマウンドの由弦を見つけ、ロックオン!
離れた所では、
「キャーー!!せんむぅ~!やっぱりユニホーム姿の専務もカッコイイ!!」と甲斐。
「ほんとね~。ユニホーム姿だと、どの人も格好良く見えちゃう」と仲里。
「そんなことないです!専務は何着ても似合うし誰より一番カッコイイもん!」
甲斐の言葉を他所に、
「あれ?青木さんいつもVIP席から、副社長の隣で優雅に見てるのに、今回に限ってスタンド席で観戦なんて珍しい」
周りを見渡して珉珠に気が付いた仲里が言った。
「どうせ~専務にアピるためでしょ!私ぃ~ずっと黙って見てたんですけど~、ここんとこ急接近だし!でも愛梨絶対に専務は渡さないんだから!!」
珉珠を見ながら言う甲斐。
「えっ!?勝ち目ないでしょ!?それに両想いに割って入るのは不可能だと思うけど?専務奪うとか言う前に自分磨きした方がいいと思う。自分のレベル上げるとそれ相応の相手にも巡り合えると思うわよ?」
「そんなこと分かってますよ~だ!!」
「しかし、恋の力って人を変えるのね~」
仲里は珉珠を見て、まざまざとそれを感じた。
「そうよ!恋の力って凄いのよ!侮ってはダメよ!そして女を綺麗にする!さらには恋に年齢なんて関係ないの!奪ってでも手に入れないといけない時があるの!ある意味、あのマウンドに立つ選手達のように、恋する女もまた戦士なのよ!」
仲里の言葉に反応して、すかさず課長江南が女語録を発した。
「は、はぁ~」仲里は圧倒された。