漢江のほとりで待ってる
一大イベントから一夜明けて、本社でのこと。慶太は社長に呼ばれた。
「お話とは何でしょうか?」
「あぁ、青木君のことだが、お前の秘書から、今度は由弦の秘書をやってもらおうと思う。彼女なら由弦を支えて、一人前にしてくれるだろう!お前がそうだったように」
「し、しかし彼女は長年私の秘書をしてもらって……」
「お前には、これからの高柳の後継者としてやって行ってもらわなければならない。何かあった時のために、弁護士でもある、我が家の執事の椎名君に、お前の秘書をしてもらう事にした」
「で、でも、そんな急に、青木君の気持ちも確かめないと」
「彼女には承諾済みだ。それに、椎名君は、昔私の右腕だった男だ。仕事に関しては全て把握しているし、未だ現役だ!お前のことをたいそう可愛がってくれて、お前のために執事になったような男だ。お前のことは誰より理解し、お前のためなら何だってする男だ。それはお前が一番分かっているだろ?だから安心しろ」
「……」
またしても、社長である父の前では、何も言い返すことが出来なかった。
どうしても越えられない壁。
しかし、このままでは由弦の追い風になり、彼にとっていい流れになっているだけ。
このままでいいはずがない!
何とか手を打とうとする慶太だった。