漢江のほとりで待ってる
「CMの作成の件だが、今すぐ撮影を延期するよう伝えろ!理由?そんなものあとでいい!とにかく延期しろと伝えろ!」
慶太の一言で、由弦が手掛けていたプロジェクトが中止された。そして迅速に次の行動に出た。
「高柳専務の手掛けているCM作成の件、通博に依頼しろ!」と次の支持を部下に言い渡した慶太。
通博は総合広告代理でも大手と言われている。慶太はそこに全てを委ねた。
由弦の企画を慶太は握り潰すつもりだ。
そのことは、すぐに由弦の耳にも入った。
アートディレクターの旭信二からの第一報。
「専務!いや、CD(クリエイティブディレクター)!あんなに苦労してやっと撮影に漕ぎ付けたのに、延期とはどういうことですか?制作側も混乱してます!」
「えっ!?何だって!?……そんな話は初耳なんだけど!今聞いてびっくりしてる状態だ!申し訳ない!ちょ、ちょっと待ってください!しっかりと把握できていない状況なんです。詳しく調べますの待ってくだい。本当に申し訳ありません!」
と由弦は電話を切ると、その足で慶太の所に向かった。
専務室から物凄い形相で出て行った由弦に、珉珠は声も掛けられなかった。
もちろん珉珠もそのことは知らされていなかった。