キンダーガーテン 二   ~優しい居場所に~
リビングでは、ますます賑やかな声が響いてる。

フレンドリーなお兄さんは、四人と尋ちゃんに挟まれて

とってもモテモテ。

「おいくつなんですか?」

「先生のお兄さんって信じれな~い。
格好いいですねぇ~」

「ビール、お注ぎしますね。」

すっかりキャバクラ化したリビングで

「梓ちゃんと海晴ちゃんと~、夏苗ちゃんと彩ちゃん!!
後…唯ちゃんの妹の千尋ちゃん!
ほ~ら、覚えたでしょう?!みんな美人さんだねぇ~。」

ちょっと………

お兄さんって……既婚……者……??……。

ジーっと見てた唯に

「唯ちゃんは!可愛いよ。
なぁ~ゆ・う・く・ん!!」って

固まった唯の頭を撫でて先生は

「兄貴、義姉さんにチクるぞ!」って

低くて怖~い声で脅しながら

「飲むなら、奥につめて。」って…諦め顔をしてた。

「こっちが尋ちゃんの彼氏の和也君。
………まったく………婚約者の前で。」ってブツブツ。

ソファーに座る先生をムシして

「あっ千尋ちゃんの彼氏さんですか。
初めまして、私…悠人の兄の拓人です。
急にお邪魔してすみませんね。まぁ~飲みましょう!」って

和也さんのグラスにビールを注ぐお兄さん。

ホント、先生と正反対だよね。……可笑しい。

男三人女の子六人の不思議な飲み会メンバーに笑っちゃう。

みんな楽しそうだから、今のうちにもう少しおかずを作っちゃお。

おかずが出来るまでは、キッチンの声を聞くだけなのに…

とっても楽しい。

料理しながらテレビ以外の声を聞くのって

本当に久しぶり。

こんなに幸せで良いのかなぁ?

…………………………………………。

いつかこの幸せ…………無くならない?

幸せ過ぎると……無くす不安があるんだね。

………グツグツ…………グツ……グツ…………。

お砂糖とお醤油の甘辛い香り。…………懐かしい。
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