キンダーガーテン 二   ~優しい居場所に~
肉じゃがが煮えるのをぼぅ~っと眺めていたら……

フワッと温かいぬくもりに包まれた。

「うん。良い匂い。」

振り向かなくても感じる………いつもの笑顔。

「疲れてない?早くこっちにおいで。」

ギュッと抱きしめてくれる手は…

不安になっていた唯の心を、ゆっくり溶かしてくれる。

廊下を隔てたリビングからは…賑やかな声が響いてくるのに

ここだけ別世界のように

唯と先生の心音しか聞こえてこない。

穏やかな時が……ゆっくりと刻まれる。

いつもなら、周りの人達が気になって

先生とこんなにくっついてるなんて、ありえないのに

今は………離れることができないよ~。

「先生……ずっと一緒にいてね。」

独り言のように呟いたのに……

いつものように『大丈夫。』って…背中を擦ってくれる。

先生は…唯の全てを理解することなんて…無理なはずなのに

淋しさも、不安も……

誰よりも理解して……救い出してくれる。

先生の大丈夫に守られて……元気になれる。

もう一度頭を撫でて

「煮えたよ!行こう。」ってお皿を出してくれた。
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