キンダーガーテン 二   ~優しい居場所に~
「お兄さんって、結婚されてます?」

左手の薬指を見て聞く海晴ちゃん。

「尋ちゃんもさりげなく左手につけてるし……良いなぁ~。」

「これは予約!悪い人にちょっかい出されないようにだって!
和君、独占欲強いの!
本物は…もうちょっと先かなぁ~。ねっ!和君。」

「あぁ~。こんなに良い男がいっぱいなのに…
みんな売れてる……。」

彼氏募集中の夏苗ちゃんのぼやきに

「悠人ならまだ独身だよ。
まぁ~唯ちゃんがいるけど。……って言うか、こんな堅物、嫌だよね!
融通利かないし、面白味もないもんね。
こんなの好きになるのって、唯ちゃんくらいだよねぇ~
園でもこんな感じ??」

「園ではもっとですよ!」

「いつも眉間にシワを寄せて……怖いんですよぅ~」

「そうそう!!直ぐ怒るしねっ!
唯ちゃんなんて、何回泣かされたことか……」

「私達がこんなに可愛いがってるのに…。
そのくせチャッカリ持って行っちゃうし!!」

「へぇ~!いっが~い!!
家だとノロケてばっかりなのに~。
もしかして、好きな子程イジメちゃうパターン?」

「おい!!」って凄む先生をムシして

「悠君~。
お家での姿を隠しても、明日どうせおふくろにバラされちゃうよ~」って…

えっ???

明日??

………………??……おふくろって……

お母さんのこと??

頭にいっぱいのハテナマークを浮かべて……先生を見ると

唯以上にテンパった顔をしていたの。

「……あっ!……あぁ~。イヤァ。」

ニッコリ笑って誤魔化そうとするのは……

幾ら鈍い唯でも分かっちゃう。

「先生…なに??」

はぁ~っ……。

大きなため息を1つついて

「明日の花火大会、浴衣で行こうって言ったよね?
あれ………お袋が着付けするって…」

「えっ!」

「いよいよお嫁にいっちゃうのぅ~」

「お母様とご対面?!」

一段と大騒ぎでパニックの中

「気にしなくていいよ。
『花火を見に帰るって言ったら、私が着付けしたい!』って
張り切っていただけだから。
着せてもらったら二人で花火見に行こう!」って…

「えっ…あっ……えっと……。あの………」

花火って…先生のお家の花火大会だったの?

お母さんが着付けって………

何から質問していいのか分からず

ただ口をパクパクされていたら………
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