キンダーガーテン 二   ~優しい居場所に~
片付けを済ませ、再び唯の周りに座ってくれた四人に

「明日って…どんな服で行ったら良いと思う??
お土産って…どんなものが良いかなぁ?」って

明日のことを、あれこれ質問してたら…

「ほら~っ!!
気にする子だから、口止めしといたのにぃ~!!」って

お兄さんに文句を言う先生。

「アホ!
オレは妻帯者だよ。彼女がお袋に会うっていうのは
経験済みなの!
いくらお袋が内緒で連れてこいって言ったって…
初めての印象が気になるものなの!
お前だって、唯ちゃんの家に行く前に電話してきただろう?
そういうもんなの!
だいたい、今日ここにバラしに来させたのって……
うちの奥さんだからね!
オレが昔……黙って連れてったこと覚えてて……
『唯ちゃんに同じ思いをさせたくない!』って…
うちは嫁・姑の仲が良いし…問題ないって思うけど…
奥さんに言わせると……彼女として心に残ったらしいよ。
そう言われちゃうと、弟に同じ過ちをさせる訳にはいかないでしょう。」

それでお兄さん……先生に何も言わないで急だったんだぁ。

性格は反対みたいだけど、優しさは同じだね。

「ありがとうございます。」

「うん。
でも、ホントに気にしなくていいよ。
自分が後々気にならない程度で良いからね!
親を誉める訳じゃないけど…気取らない優しいおばちゃんだから。
うちは孫までみんな男だから、唯一の味方だって言って……
奥さんとホントに仲が良いの。唯ちゃんのことも楽しみにしてたしね。
奥さんも一人っ子だから、妹が出来るって張り切ってたし。
オモチャにされるかもしれないけど…
今日を見てたら……あまり変わりなさそうだから
緊張しないで、気楽においで。」

先生やお兄さんを育てた人だもん。

きっと温かい人達だよね。

ドキドキの中に、ちょっとだけ明日への期待が生まれた頃

「…………兄貴………ごめん……。」

素直に謝る先生は、可愛い弟君で……

お兄さんから見ても……やっぱり可愛いんだろうなぁ~

大きな先生の頭をクシャっとして笑ってる。

唯にとっての尋ちゃんなんだろうなぁ~。って尋ちゃんを見たら

「お姉ちゃん、そろそろ帰るねっ。
明日はいつものお姉ちゃんで行ったら
気に入ってもらえると思うよ。
楽しんで来てね!」って…

和也さんが疲れていることを気にしていた尋ちゃんは

やっぱりしっかり者で…彼女の顔をしていた。

大切な人がいるって良いね。

姉妹の時間は…ちょっと減ってしまったけど…

お互いの幸せを……誰より祈る存在だよ。

四人に「また今度遊んで下さいね!」って

人懐っこい笑顔で挨拶をすると

「尋ちゃん、また遊ぼうねっ!」

「今度は、先生のおごりでご飯食べよう!」って四人も答えてた。

和也さんは先生に

「お邪魔しました。ご馳走さまです。
尋のこと……ありがとうございました。」って

昨日の尋ちゃんのお礼を言って、四人とお兄さんにも挨拶してた。

帰り支度を始めた二人を玄関まで送りながら

「ごめんな、バタバタして。
今度は四人で…ゆっくりご飯を食べよう。
尋ちゃん、またいつでも泊まりにおいで。」って

先生が優しく声をかけてるのに……

いたずらっ子の尋ちゃんは…

「次にお泊まりに来るまでには、"キス"くらい済ませておくんだよ!
『頑張ってね!!おにいさま!』」ってからかって帰って行った。
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