キンダーガーテン 二   ~優しい居場所に~
「モンブランとキャラメルムース。フルーツロールに紅茶と和栗のシフォンケーキ。ガトーショコラに…………後は何が良い?」

キラキラのショーケースに映るケーキは…どれもキレイで可愛い!

思わず心が弾んじゃう。

覗き込む唯の横で「甘そう。」って呟きながら、指差しで選ぶ先生が

最後に……

「それと、イチゴのショートを。」って…

唯の大好きなイチゴのケーキは…

いつも、特別な言葉を語るように注文してくれるの。

「先生のケーキは??」

「オレはこれ。」

指したのは、シンプルなチーズケーキ。

甘いもの……ホントは苦手なんだよね。

それでも毎回、唯に付き合って食べてくれる。

お会計をしようとレジに向かうと

「ダ~メ!」って先生が払っちゃった。

「ええっ!
だって…先生のお家のお土産だよぅ。」

「二人でいて、女の子は払うなんてカッコ悪いでしょう?
男の見栄です。」

……そう言われると何も言えなくて。

車に乗って再びお財布を出したら

「要らないよ。
あいつらのケーキを、唯ちゃんに払わせるなんて…
気になるなら、今夜それで美味しいご飯を作ってよ!」って

今夜は屋台で色々と食べるから、ご飯は要らないよって言ってたのになぁ。

うやむやにしたら、唯が忘れるって思ってるんだろうなぁ~

「ありがとう。」

意地を張っても仕方ないから、お礼を言って引っ込めた。

明日は、先生の好きなメニューをいっぱい作っちゃおう!

「唯ちゃん、今から帰るまで『先生』禁止ね!
地元の仲間に合った時"先生"って呼んでたら
『何子供に手を出してんだ!』ってからかわれそうだからね。」

「子供??」

「あぁ~違う違う。
オレが幼稚園の先生をしてるって知らない奴もいるから。
学生に手を出した、いけない先生って思われるの。
パッと見……先生と生徒でしょ?オレって………オジサンだし……
それと、家族の前で『先生』は恥ずかしいからね。
『先生~』って笑われるもん。」

先生でもそんなこと気にするんだ。

お家の人には……照れ臭いのかなぁ??

不思議に思っていたら

「彼女なんて連れて行ったことないからね。
それだけでからかうネタいっぱいなのに"先生"なんて呼ばれたら何を言われるか。」

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