キンダーガーテン 二   ~優しい居場所に~
「だったら、何て呼んだら良いです??
『悠人さん』、『悠ちゃん』??『悠君』でもいいですよ?」

「唯ちゃんに、一番からかわれてる気分……。」

……………??………………。

「先生の気に入った呼び方で呼びますよ。」

「…………唯ちゃんって……照れないんだね。
普段、先生としか呼んだことないから……
もっと恥ずかしがるって思ったのになぁ~。
からかったつもりが……からかわれた気分だよぅ。」

「う~ん。
だって…普段幼稚園で子供たちを名前で呼んでるから…」

「あぁ~そっかぁ!………残念。
だったら……
『悠人さん』は…和君をいつも、和也さんって呼ぶから……
同じみたいで嫌だから……
『悠ちゃん』も…言われてみると…園児を呼んでるみたいな気がして来たから…」

「だったら、『悠君』でいい?」

「悠君も…園児みたいだよね?
じゃあ!
『悠』か『悠人』って…呼び捨てにして。」

「えっ!!それは無理!!
………ダメ!それだけは、絶対ダメ!!」

「なんで~??」

「だって…今からお母さんに会うのに……呼び捨てなんて。
10歳も年下の彼女が呼び捨てにしてたら、びっくりされますよ。
嫌な印象をもってもらいたくないのに…ワザワザ悪い方を選ぶなんて…
とにかく、絶対ダメです!!」

「あぁ~それなら大丈夫!
兄貴達夫婦もずっとそうだし、男3人育ててきたから
そんなこと、全然気にしないよ!
むしろ、『悠人さん』って呼ばれたら笑われそう。」

「でも、やっぱりダメだよぅ。」

「どうして??」

「だって…先生は彼氏だけど…唯にはホントに凄い人で、尊敬してるもん。
憧れの人だから…呼び捨てになんて出来ないよ。」

唯の答えを聞いて

はぁ~っ。ってため息。

急にウインカーを出して、左手にある細い路地を抜けて

ガードレールに沿って走らせ、少し広めの場所に駐車した。
< 134 / 153 >

この作品をシェア

pagetop