キンダーガーテン 二   ~優しい居場所に~
あれからキスのことが、頭から離れなくて……。

気がつくと……

ついつい先生の口元を目が追っちゃう。

「何⁉トマトソースが付いてる?」

「うぅ??…ううん⁉……違うよ!……何でもない!」

今日は、先生のお家でデート!

この間、図書館の帰りにお邪魔して以来二回目。

前回は、スパルタ先生に『お仕事しなさい!』って言われて

入口直ぐの客間にしか入れてもらえなかったけど…。

今日はキッチンにも入れたの。

また少し、先生の領域に入れたみたいで嬉しいなぁ~

でも、やっぱり先生のお部屋はダメみたい…。

つまんな~い!

もっと先生の生活してる所が見たかったのになぁ~

ホントはスッゴくズボラで…お部屋なんて汚部屋だったり!

元カノ………の物は嫌だから…。

マンガばっかり置いてたり…………。

何でもいいから、先生の秘密知りたかったなぁ~。

ざ~んねん。

………とは言っても、元々今日は植物園デートだったから…

キッチンに入れただけでもラッキーなんだけどねっ。

なんでも…お兄さんに車を貸したみたいで。

朝から

「兄ちゃんに車を取られた~。
デートが無理です。………ごめんね」って電話がきたから

「だったら、唯が行くよ!」って言ったの。

優しい先生は、いつも車でお迎えしてくれるから…

電車で唯が行くっていう発想がなかったみたい。

ホントは、唯のお家に来てもらっても良かったんだけど…

今日はお父さんの会社の人たちが来るって言ってたから…

無理だったの。

お父さんに「お料理を作っておこうか?」って聞いたら

「皆で持ち寄る」って言ったから…

先生と唯の分の材料を持って出掛けたんだぁ。

デートがキャンセルになりかけて、ブツブツ言ってたのに…

「お昼ご飯を作りに行っても良い?」って聞いたとたんご機嫌になって、

「パスタはトマトが良いなぁ」

「駅で待ち合わせてケーキを買いに行こう!」っておおはしゃぎ。

でも、駅での待ち合わせは誰かに会うと大変だから…

唯が一人で買って行くことに。

先生はチーズケーキが好きなんだって。

事前に教えてもらった暗証番号を使って、入るのを楽しみにしてたのに…。

先生ったら…外で待ってるんだもん。

家は一軒家だから、マンション楽しみだったのになっ。

「思ったより早かったね!」って満面の笑顔で迎えられると…

仕方ないなぁ~って許しちゃう。

いつかまた、こんなチャンスあるかな?




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