キンダーガーテン 二   ~優しい居場所に~
「ねぇ、唯ちゃん。
オレね……ホントは、ムリに大人にしようなんて…
思ってないんだぁ。
唯ちゃんは、今のままが良いって思ってるから。
何より…………大切だからね。
………………なのに。
その気持ちに変わりはないのに…
………時々……焦っちゃうんだよね。」

「焦る??」

「うん。
例えば…コウみたいに若いのが、唯ちゃんのまわりを
うろちょろしてたら…つい『取られないか?』って
不安になったり…
この間みたいに、一人にしたくない夜があると…
『オレが守りたい!』ってプロポーズしたり……。
唯ちゃんの気持ちは、まだ付いてきてないのに…
自分のだって…思いたくなるんだよね…。
別に、キスとかじゃないよ。
もっとこう……精神的なものでね…。
オレのことを、好きになってくれてるのは
感じてるし…彼女だって、自覚もあるのに…変だよね。
たぶん、好き過ぎて…不安になるんだと思う。」

その気持ちは唯にも分かるよ。

ずっと一緒にいるのに…少し離れたら淋しいし、どんな小さなことでも…

先生の事を知れたら嬉しいもん。

モテるのは嫌だし、また会えたら幸せになるし。

でも…唯は先生に、沢山の愛情を貰ってるから

不安には、ならないんだよね。

先生はいっぱいの言葉やしぐさ、表情や行動で安心をくれるから。

それなのに唯は

自分のワガママで待たせて、不安にさせて……ダメだよね。

先生には笑っててほしい!

今は、唯の不安より…先生の気持ちを優先したい。
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