キンダーガーテン 二   ~優しい居場所に~
10分くらい走ったところで、バスが停車して

航君が乗って来た

「遅くなってすみませんでした。」

ガバッ!って…

音がするほど勢い良く頭を下げて謝る航君に

「良いことをしましたね。お疲れさま」って

園長先生の優しい声がした。

もう一度頭を下げて、一直線に先生のもとに来る航君。

まるで、飼い主さんと忠犬みたいで…

ちょっと笑える。

「先生。……ご迷惑をおかけしました。」

先生に頭を下げて、横にいる唯をチラッと見て…

びっくりした顔をする航君。

??………?……

通路を挟んで、先生の横に座った航君は…

「森先生、………こちらに来られませんか?」って

自分の横を誘ってる。

なんだかんだ言って、この二人仲良しなんだよね。

"良いよ"って先生に目で訴えたのに…

「あぁ…唯先生の体調が悪いらしいから…
もぅ少しこっちで様子を見るよ。」って…

ええっ!!

…………唯、元気だよう。

四人はクスクス笑ってるし

航君には「大丈夫ですか?」って…心配されるし。

………もぅ~!!先生のウソつき!

演技なんて出来ないし…

先生を無視して窓に頭を預けてたら……

いつの間にか眠ってたみたい。

………………………………………。

………………………………「唯ちゃん……。」

「唯ちゃ~ん。」

「朝ですよぅ~」

ほっぺをつつく指と先生の優しい声に目を開けると

先生に覗き込まれてた。

うわぁ!先生だぁ~

うふふっ。

ニッコリ笑うと………笑い返してくれる先生。

「まだ、寝ぼけてますかぁ?」

………寝ぼけて??………寝てたの?

……あれっ??…ここって?……バス??…車じゃないの??……

………バス………バス……………………。

!!!

あぁ!!……バスだぁ!

今は……職員旅行中?!

"唯ちゃん"って……マズイんだってばぁ~

慌てて起き上がると

……バスの中は………唯と先生のみ。

???…

「今はトイレ休憩中だよ。
四人はトイレとお土産を見に入ったよ。」

「他の先生は?」

「皆それぞれ、30分の休憩を楽しみに行った。」


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