キンダーガーテン 二   ~優しい居場所に~
口元から慌てて目をそらしたら

「あぁ~!ホンットに旨い‼唯ちゃん天才!!
良い奥さんになれるよ。」って。

天才って、メニューじゃあないけど…

先生に喜んでもらえるのは、やっぱり嬉しい!!

それに、"良い奥さんになれる"って…

ずっと一緒にいられる??

そうだったら良いなぁ~。いつかなれたらなぁ~。

二人一緒に「ごちそうさま」を言って

流しに運ぶ唯に付き合ってお皿を運んでくれる先生。

「洗い物も唯がするから、置いておいて下さいね」って伝えると

「オレの数少ないお皿たち………数減らない??」って真顔で聞いてくる。

………失礼しちゃう!

「割ったら買って来ますぅ~!」って

プイッって横を向いたら。

「ねぇ~。来週末…ショッピングに行かない?
割らなくても、お揃いの食器を買いに行こう!
唯ちゃんのカップやお皿も欲しいしね。」

「えっ!良いの⁉
ここに……唯の。ホント??
…………嬉しい!」

うわぁ!ホントに彼女みたい。

……先生のお家に、唯の物があるんだよ!

喜ぶ唯を横目に…

「もちろん!
割っても良いように、少し多目に買っておこうねっ!」って

ベーだ‼意地悪。

来週の想像をしてたらついつい嬉しくなって

鼻歌気分でパパッと洗い物もすんじゃった。

でも…あんまり浮かれると良くないねっ……

「ねぇ~唯ちゃん、大丈夫??……こっち向いて。」

先生の声にマズイかなぁ~って思いながら振り向くと……

「やっぱり……。」

ふぅ~って、ため息をつきながら…眉間にシワを寄せてる……

「来週…エプロンも買おうねっ!
取りあえず風邪をひくと大変だから……
オレの着替え持って来る。」

………はい……すみません……。

張り切り過ぎて…ちょっと水圧高過ぎたみたい…。

スカートとブラウスが濡れたの……ばれちゃった。

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