キンダーガーテン 二   ~優しい居場所に~
半パンとTシャツを手に帰って来た先生は…

「これに着替えて。スカートとブラウスは、乾かすから。
しっかし、派手に濡らしたねぇ~。ホント、子供みたい。」って笑われた。

ど~せ子供ですよ~だ。

せっかく良い奥さんになれるって誉めてもらえたのに…。

洗面所に案内されて、着替えながら鏡で見てびっくり!

………………あ~ん。………変な格好……。

先生との身長差は30㎝。半パンのはずが……膝しただよぅ~。

ウエストもブカブカだし…Tシャツだって……。

デートだからおしゃれしてきたのに……台無しだよぅ……。

ドアを開けたら、壁に背中を預けた先生と目が合って

プッ。

そりゃ~………笑うよね。だって…スッゴく変だもん。

分かるけど……でも…長すぎ。

もう10分は経ってるんですけど~。

チラッと見ては口の端を上げてるし…。

口を尖らせて抗議したのが、余計ツボにはまったらしくて…

涙まで浮かべてるの。

仮にも、彼女がお家に来て2度目だよ~。

アルバム見たり、おしゃべりしたりもっと違う過ごし方ってあるよね?

まぁ、元はと言えば唯の失敗からだけど…

あ~あ。………早く乾かないかなぁ~

笑いのおさまった先生が、ケーキとミルクティーとコーヒーを持って来てくれた。

「やっぱり苺のショートケーキなんだぁ~。
うちにお皿がないから…ティッシュの上ねっ!」って

「美味し~い」

さっきまでの不機嫌唯ちゃんは、何処に行ったの?って聞かれそうなくらいご機嫌で食べてたら

「はぁ~。いつもこれくらい食べてくれたら…心配しないのにねぇ。」って

でもね、そんな事言う先生だって…良い顔で食べてるんだよ!

甘い物は、苦手なのかと思ってたんだけどなぁ~

新しい発見!だよ!

「先生、ここって…女の子を呼んだことある?
キッチンに何も道具がないから、びっくりしちゃった。」

うぐっ。て変な音をさせた先生は、コーヒーで喉を整えて

「ここに越して4年になるけど、唯ちゃんが初めてです。
元々ここは叔父の家だったから…2年は居候だったし
その前は実家だったから、結婚を意識してないと連れていけないよね。
それにこの1年は、唯ちゃんに片思いしてたから…連れて来る人なんていませんでした。」

あまりに何もないキッチンだったから、びっくりして何気なく聞いた言葉だったけど…

先生の返事は、想像以上に唯を幸せにしてくれたの。

ここに誰も連れて来てないんだぁ

「唯ちゃん、嬉しい??」

うん。って頷いたら、頭を撫でられた。
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