キンダーガーテン 二   ~優しい居場所に~
「それより早く、お揃いの物を見に行こう!
時間がなくなるよ。
あっ!そうそう。
マグカップって…この間と同じのない?
あれっ、すっごく使いやすいし色もいいから気に入ってるんだ。
………マグカップ………マグカップ……。」

ブツブツ言いながら探してる………可愛い!

先生、気に入ってくれたんだぁ。良かった。

喜んでいたら、後ろの棚の方から

「おっ!あった。
唯ちゃ~ん。色違いもあるよぅ~。何色にする?」って…

色違い………あっ!……

「………唯は買わなくて……いいよ……」

「えっ?お揃いにするんじゃなかったの??
もしかして、他に気に入ったのがあった?」

「えっ!あぁ~違うよ。これが良いよ。うん!
…………………。あのね。
実はね……唯、もう持ってるの……。」

「はぁ?何で??」

「あっ…えっと……あのね。
先生とお揃いが欲しくって…買っちゃったの……白を。
まさか、先生の彼女になれるなんて思わなかったから…
片思いの頃に
カップなら、ナイショのお揃いでもいいかな?って…」

プッ!!

笑いながら"可愛い、可愛い!"って…

フン。どうせ、子供ですよ!

自分の行動が恥ずかしくて拗ねてたら

「あぁ~めちゃめちゃ嬉しい!
オレが思ってたより、好かれてたってこと??
顔がニヤケる。
だったら、オレのだけ買おう!
唯ちゃんは、コッソリお揃いにした
愛用のカップを持っておいで!!」って…

これから先、このカップを使う度に笑われるのかなぁ?

ちょっと……悔しい。

お揃いのお箸やお茶碗も選んで、お鍋に調味料入れ

お玉にフライパン、包丁と…

カートの中はピンクの小物でいっぱいになった。

途中、イチゴ柄の布巾を掴んだら

一瞬止まって……「いいよ。」って笑ってた。

ねぇ~先生。

いつかこのイチゴ柄が擦りきれて、見えなくなるのかなぁ?

これを使って初めて作るご飯は、何が良い?

明日からのことを考えると…ワクワクするよ。
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