キンダーガーテン 二   ~優しい居場所に~
食器は…

先生の好きなグラタンのお皿とパスタやカレーを盛れる

大きめの物と取り皿として使う小皿を数種類と

デザートのお皿を何枚か買ったの。

どんぶりやお椀も買うと、ホントに重くって…

それなのに、電化製品もって言うから

先生には一回、車に置いて来てもらうことにしたの。

一緒に行くって言ったのに

「唯ちゃんが一緒だと遅くなるから…
本屋さんで待ってて」って…

カートを押す先生と別れて

本屋さんで新学期に読んであげたい絵本を選んでたら

足元をツンツンって触る手が……

先生のエッチ!!

少し睨みながら振り向くと、小さな女の子が。

「あっ……花音ちゃん。」

「ママ~。やっぱり、先生だったよぅ~!」

花音ちゃんは隣のクラスの咲ちゃんの子。

お母さんが少し離れた場所で会釈してる。

「こんにちは。」

慌てて挨拶しながら、顔が強張ってるのが分かる。

「先生、こんにちは。こんな遠くで会うなんて。
そう言えば、さっき日用品の方にいらっしゃいませんでしたか?
男の人とご一緒だったみたいだから
声をかけるのを控えたんですけど…違います?」

言い逃れ出来ませんよ!しっかり見ましたから!!

って勢いの笑顔を向けられて、背中から

嫌~な汗が流れた。

あ~ん。………何て答えたらいいの?

心臓がバクバクいって

このまま倒れてしまいそうだと思った時

「ねぇ~あのひと…せんせいのかれし~?」って…

えっ!花音ちゃん…

あの人が先生だって気づいてないの??

………ラッキー!!

「ちがうよ。」ってニッコリ微笑んで

「今日は従姉妹と従姉妹の旦那さんと来てるんです。
先月結婚して、この近くに住んでるので。
話題のお店に来てみたくて、遊びに来ちゃったんです。」

「あぁ~それで。
従姉妹の旦那さんだったんですねぇ~
ごめんなさい。変な勘繰りをして…
唯先生は、園で一番幼いから…彼氏?って思ったんですよ。
そうですよね、先生は結婚って…
まだまだイメージ出来ないですもん!
早すぎですよね。
失礼しました。じゃあまた新学期に。
花音ちゃん、先生にさよならして」

「せんせい、さようなら。」

「またね。楽しい夏休みを」
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