キンダーガーテン 二   ~優しい居場所に~
何とか笑顔で乗りきって

後ろ姿が遠のくと、直ぐに先生にメールした。

"保護者に会いました。ここは見つかるから…
何処に行ったらいいですか?"って…

ここに先生が来るのはマズイ。

とっさの判断にしては良かったと、自分で誉めてあげる。

先生の返事は、直ぐに届いた。

"了解!電化製品と食品はまた別のところで買うから
駐車場に来て。"

方向音痴の唯が、一人で駐車場まで行けるか

不安だったけど…

先生が携帯でナビをしてくれたから、何とかたどり着いた。

「到着!!」

ホンの10分くらいしか離れてなかったのに

広い館内で一人ぼっちなのは、思った以上に不安だったみたいで

先生の隣に座ると、唯の方から手を繋いじゃった。

唯の気持ちが落ち着くのを待って、頭を撫でながら

「誰に会った?」

「花音ちゃんとママ。先生の顔は見てないみたいだったよ。」

「そっかぁ。
唯ちゃんが不安そうにしてたから…
見られたのかと思った。」って笑ってた。

あっ…ごめんなさい。

また心配かけちゃった。

一人ぼっちが不安だったなんて言ったら

怒られるかなぁ?

「先生だと気づいてないけど…
男の人と食器を選んでたのは、見てたみたいだから
先月結婚した従姉妹のところに遊びに来てて
従姉妹の旦那さんを見られたのかな?って…
ウソをついちゃった。大丈夫かな?」

「唯ちゃんにしては上出来!
だったら早く離れよう。
あのお母さん、うわさ好きで有名だから。
他には言われなかった?」

「うん………………。大丈夫だけど………」

「なに?」

「唯って…幼いんだって…。結婚のイメージないって…
疑いを持たれなかったから…良かったけど…
ちょっと…かなぁ……」

「こらこら、拗ねないの。
多分、唯ちゃんが純粋だから…まだ結婚のイメージが
ないだけだよ。
二人でゆっくり育てようね。
……それより、お昼どうする?
ここで食べようって思ってたから…
この辺り詳しくないし…唯ちゃんが食べれる物が
あるかなぁ?
なんだったら、唯ちゃんの従姉妹に聞いてもいいよ。
一ヶ月も住んでたら何処か知ってるかも。」って…

ホント、意地悪!

「先生、やっぱり…外食がいい?」

「うん?特別そんなことはないけど…。
まさか、家に帰って作るまでおあずけなんて
言わないよね??
それは我慢できないよ!」

「違う違う!そんなの唯だって無理だもん。
あのね、ピクニックしない?
二人でのんびり食べたいなぁ~って」

「ピクニック??この暑いのに?」

「やっぱり…嫌?」

「別に、嫌じゃないけど…
唯ちゃんって…相変わらず変わってる!」

「変わってる?」

「普通は日焼けを嫌がって、反対するのに。
敢えて外って…。
オレはいいよ。日焼けも気にしないしね。
二人でのんびり食べよう。」

「うん。だったら早くお弁当買って、ゆっくり出来そうなところを見つけよう!ワクワクするね。
あっ…おやつも買おうね。」

コンビニでスパゲティーとオムライス

デザートのプリンも買って

広めの公園に。

大きな木の下は…日陰になって思ったより涼しい。
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