キンダーガーテン 二   ~優しい居場所に~
………………………!!

心地好い手が……突然離れた気がして………

目覚める。

「先生!!」

さっき目覚めた時の隣からの温もりは……

なくなっちゃった。

先生??

立ち上がって、馴れない部屋の中を

不安に駆られながらウロウロさまよっていたら

玄関からカチャっと鍵の開く音が……

バタバタバタ………

迷子の子供みたいに走って行くと

「お目覚めですか?
何もなかったからコンビニでパンと卵を買って来た。
オムレツ作ってくれる?」ってナイロン袋を揺らしてアピールしてる。

洗顔とお化粧と着替えを済ませてキッチンに立ったら

「唯ちゃん…これ!」ってエプロンを渡された。

「美香さん……兄貴の嫁さんに頼んで買って来てもらった。
家で風邪引いたなんて……お父さんに申し訳ないからね。」

この間の事……そんなに心配してたの??

しょっちゅうだから…大丈夫なんだけどなぁ~

それでもチェック柄のエプロンは、可愛いくて気に入っちゃった。

「先生~どう??」

クルンってターンしてお披露目すると

「可愛いよ。
お父さんがここに来させるのを心配する気持ちが
分かるくらいにね!」

…………?……………??……。

「昨日唯ちゃんが、準備で部屋に行ってた時
お父さんに"唯の生活費は、こちらで持ちますから。
勝手を言っているのは分かりますが…
まだ、嫁に出したのではないと言うことを……
理解して下さい。"って……
お嫁に行くまでは、清いままでって…お願いされたの。」

びっくり!!

唯がいない間に下ではそんな会話がされてたの?

でも……

それとエプロンって…

どう繋がるの??

キョトンと先生を見たら

「いくらお父さんのお願いでも…
こんな可愛い姿を見たら、我慢するのが厳しいなぁ~って話し。」って笑ってた。

可愛いの??

嬉しい!!わはっ!

ウキウキしながら

リクエストのオムレツとトーストとコーヒーを用意した。

オムレツは、お約束のハートケチャップだよ。

お揃いのお皿とカップに入れられた食事は…

材料が少なくて、ちょっとシンプル過ぎるメニューになってしまった。

それでもやっぱり美味しそう!

テーブルに、向かい合って座って…

二人一緒に「「いただきます。」」

おままごとみたいな一日の始まり。

……………幸せ。
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