不倫
「学校から出るとすぐに俺達の通学団の所に乱入して一緒に帰ってたから・・。
あいつの通学団で起きてたイジメの話なんて気付いてなかったはずですよ。
それなのに、“谷口も同じ通学団だ”っていう理由で、いつの間にかイジメ加害者にされてて・・。
俺らはすぐ先生に抗議しに行こうとしたのに、
あいつが、“これ以上話を大きくしても被害者の子に悪い”って止めたんです。」
「・・じゃあ谷口自身は冤罪だったんだ・・。」
「そういう男なんですよ。
周りの人間を生かす為にグッと堪えて、
自分の意見をあまり前面に出さないって感じですね。」
・・これまた違う展開になってしまったか・・・。
「中学時代に話を戻しますけど、
高校の志望校を決める時期になった時、
俺にだけボソッと言ったんです。
“誰も自分の事を知らない学校に行きたい”
って。だからわざわざ遠い学校選んでました。」
「じゃあBさんは谷口とは中学を卒業したきりですか?」
「成人式の時に会ったのが最後です。
だからニュースを見た時は信じられませんでしたよ・・。」
Bは少し猫背になって俯いた。