不倫
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その夜、
署の会議室が捜査本部となり、捜査関係者が集まって今日半日の情報共有が始まった。
「・・・・また、凶器についていた指紋は妻の林ミカと一致せず。
両親、妹の証言からも犯行時刻のアリバイは成立しており、
現時点では彼女の証言に嘘はないと考えられます。」
早苗が資料を読み上げて座ると、
今度は鑑識の長さんが立ち上がった。
「凶器の指紋と同じ物がリビングや寝室でも検出された。
また、鍵穴に細工された形跡はなく、
元々無施錠だったか、
被害者の林ダイスケが鍵を開けて、
犯人を招き入れたと思われる。」
「ミカの証言では、家を出るとき確かに鍵はかけたそうなので、後者だと考えます。」
長さんの考察に早苗が補足を加えた。