不倫


ハンドルを握る早苗が一瞬俺の方を見てまた前を見た。


「谷口だ。」


「谷口?・・何か言及してたっけ?」


「俺が取り調べした時の事覚えてるか?

“凶器を事前に用意してこなかったのか”
ってくだり。」



「確か、

“心配症で移動中に職質されるのを警戒して凶器は持ってこなかった”

って言ってたよね。」


「ああ。それで、

“もしダイスケの家で凶器らしい凶器が手に入らなかったら、素手で立ち向かうつもりだったのか?”

って俺が聞いた時に、

“喧嘩は高校時代から僕の方が強かったから”
って谷口は答えた。」


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