不倫


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谷口の答えを聞いて、取調室に俺と谷口の2人分のため息が漏れる。



『彼は外面はいいけど、

その分そこで溜まったストレスを吐き出す所が無かったんですよ。

親は厳しく、常に期待を受けているから悩みや本心をこぼす事が出来ない。

友達からは“素晴らしい人間”と憧れを抱かれ、弱い部分は見せられない。

ある意味彼は孤独だったんですよ。
学生時代から、ずっとそうでした。』


「唯一吐き出せたのが君だったんだな。」


『僕も中学時代は似たような経験をしたことがありますから。
彼の気持ちはよく分かりました。』


「DVについてはどういう経緯で知った?」


『彼から聞きました。

2人でお酒を飲んでいたある日、
酔って気分が良くなったのか、

まるで自慢するかのように、
誇らしげに僕に言ってきましたよ。

結婚しても彼は何も変わらなかったんですね。

それどころか、
自分より力の弱い女性に向けて・・。』


「君とミカとの面識は?」


『・・・・結婚式の時に会ったぐらいで、
無いです。』


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