不倫
「ほぉ~。それは興味深い。
谷口と被害者の間にトラブルは?」
「それが全く無いんだよ。
2人は高校時代も、
卒業後もずっと仲が良かったらしく、
彼らの関係を知っている友人達はみんな、
“信じられない”って言うんだ。」
・・・なんとなく、
真田が私を呼び出した理由が分かってきた。
「谷口と被害者の関係を私に洗えってか?」
「そんな事は俺達警察がとっくにやってるよ。
江藤には、谷口カズマサという人間そのものを詳しく調べてほしい。」
「それを言うなら、
それこそお前ら警察の仕事じゃねぇかよ。」
「さっきお前が言ったように、この事件は動機以外全て明白になっているから、
上がこれ以上の捜査には後ろ向きなんだ。
さっさと検察送りにしてこのヤマは片付けたいってさ。
だからこういう時は、
心の友に頼るしかないってわけ。」
「白々しい事言うな。
あのな、毎回言うけど、私は便利な情報屋じゃなくてただの新聞記者なんだからな。
こっちだって暇じゃないんだぞ。」
「頼むよ江藤。今後も色んなヤマの情報は言える範囲で優先的にお前んとこの記者に回すからさ。」
「・・・ったく、私とお前は、
警察と新聞記者の癒着の極みだな。
分かったよ。」
「ありがとう!」