不倫
「今回の事件、かなり驚きましたか?」
「そうですね・・。
俺も2人とは仲が良かったので・・。」
Aはビールを置くとテーブルに両肘をついた状態で手を合わせた。
「谷口は人を殺すような男じゃないんですけどね・・。ましてやダイスケを・・。」
「まずは谷口について伺っても宜しいですか?」
「ええ・・。どうぞ。」
「どんな男でしたか?」
「メチャクチャ面白い奴でしたよ。
いつも皆を笑わせてくれて、
いじられキャラでした。」
・・・・・・あれ?
「そうなんですか・・。
“面白い奴”って仰いましたが、
具体的には何かありますか?」
「授業中、
先生に当てられて答える時も、
絶対に真面目には答えずに常に“ウケ”を狙ってましたね。
英語の和訳の時なんか、いきなり関西弁で訳し出したりして先生も吹いてましたよ。」
・・・・・・あれれ?
「その反面、弁当忘れた奴がいたら自分の弁当をほとんどあげたり、
体育祭の時に過呼吸になっちゃった奴の代わりにリレーに出場したり、
友達想いの熱い男でしたけどね。」
「ち、ちなみに学級委員長をやったりは?」
「谷口がですか?
ハハ、それは無いですね。
谷口はそういう面倒くさい事はしないタイプですから。」