【短】大ちゃん先輩はカッコ悪い!


 バスケ部とは何の関係もないわたしが、大ちゃん先輩と並んで歩けるのは運が良かっただけ。


 お兄ちゃんがバスケ部にいて、たまたま一緒に帰ったことがあったから。
 お兄ちゃんが"大ちゃん"って呼ぶから、わたしは"大ちゃん先輩"って呼ぶようになった。


 そんなふうに呼ぶのはわたしだけ。ちょっと自慢。



「大ちゃん先輩」

「そう呼ばれるの、何だかくすぐったいな」

「何を興奮してるんですか?」

「だって瀬名ちゃん、可愛いから」



 満面の笑みで隣に立つ大ちゃん先輩は、いつもわたしの心を鷲掴みにしてくる。

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