人色-hitoiro-
伊織はそれっきり何にも言わなくて
俺に背を向けたまま動かなかった。
俺は伊織の元まで行くと
蹴飛ばしていた布団をかけ直す。
懐かしい記憶が蘇る。
昔から伊織は布団を着ずに寝て
よく風邪を引いていた。
伊織の頭を撫でると温かい
体温が伝わってきて
すごく安心する事が出来た。
1人じゃないとそう思えた。
京夜「伊織‥一緒にいてくれて
ありがとう。おやすみ。」
寝息を立てる伊織に俺の声は
聞こえないかもしれないけど
どうしても‥伝えたかった。
昔みたいに。