人色-hitoiro-
ねぇ、京夜。
そんなにも木崎さんの事が
好きなんだったら
嫌いになる方法を教えてよ。
何でもいい。私の事が嫌いだとか
もうそばにはいられないだとか
そんな風に言ってくれれば
私は京夜のそばから離れる事が
出来るのに。
でも、京夜はそんな事させてくれない。
私に布団をかけ直した
京夜はあの日のように
優しく頭を撫でた。
京夜「伊織‥一緒にいてくれて
ありがとう。おやすみ。」
低く掠れたその小さな声に
私の胸は締め付けられる。
ほんの50センチ。
すぐそばに京夜はいるのに
ものすごく遠くて‥
その距離がもどかしかった。