人色-hitoiro-
奏「はは。‥伊織ちゃんってさ
本当、口ばっかりだよな。」
伊織「何が?」
奏「九条くんの事は諦める。
そう言ったくせに九条くんの事
悪く言うと怒るんじゃん。」
伊織「それは、阿久津くんが
京夜の事何も知らないのに
勝手な事、言うからで‥‥」
奏「今の伊織ちゃんも同じでしょ。」
伊織「同じって?」
奏「バスケから逃げた
九条くんと同じ。
伊織ちゃんは九条くんを
これ以上想うと辛いから
その気持ちから
逃げようとしてるだけだよ。」
阿久津くんはいつも私を惑わせる。
諦めろって言ったり
頑張れって応援したり
付き合おうなんて告白してみたり
そんな事ばかりするから私の心は
いつもバランスボールに
乗ったみたいにゆらゆらと揺れ動く。