人色-hitoiro-

奏「九条くんと木崎さんは
付き合ってるんだよ?
彼女がいる人に気持ちを伝えて
それで伊織ちゃんは平気なの?」

伊織「どうしてダメなの?
彼女がいる人に気持ちを
伝えるのってそんなにダメな事?」

奏「常識的には‥ってゆーか
普通、色々考えるでしょ。
木崎さんに申し訳ないとか
九条くんの気持ちを考えるととか。」

伊織「意味が分からない。
先に言ったもん勝ちなんておかしいよ。
だって木崎さんよりもずっと前から
京夜の事を想ってたのは私の方なのに
木崎さんが先に伝えたから
自分の気持ちを伝える事が
申し訳ないなんてそんなの変だよ。」

俺は伊織ちゃんの事を心底、軽蔑した。
あまりにも空気が読めなさすぎる。

なのに、不思議とさっきまでの
イライラは消え去った。

今のこの胸に押し寄せる感情を
言葉にしたいけど、どう言葉に
していいのか分からなかった。
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