人色-hitoiro-

何でもないような顔をして。
こっちの気持ちなんて
お構い無しに笑顔を押し付ける。

だから、今、伊織が
言うべき言葉は1つのはずなのに
伊織はじっと黙り景色を眺めていた。

茜色に染められた伊織を見た。

ああ、そうなんだ。
ようやく分かったよ。

伊織を染めていたのは俺なんだ。
< 379 / 746 >

この作品をシェア

pagetop