人色-hitoiro-


涼介「だから?」

京夜「混じりっけのない純粋な色。
白はこの世の中で最も美しい色。
伊織はどんな事があったって染まらない。
どれだけ傷付けられても
人から疎まれてもどんな人の
そばにいても真っ白なままなんだよ。」

涼介の表情を見て初めて
俺の想いが伝わった気がした。

京夜「だから、俺たちは
そうなりたいと願ってしまう。
伊織のそばにいたいと望んでしまう。
伊織といれば自分もいつか
白色に戻れるかもしれないと
期待してしまう。でも、戻らない。
どんな色に白色を混ぜたって、もう2度と
真っ白にならない事を知っているから。
だから、俺は伊織が嫌いなんだよ。」

涼介は残っていたビールを
一気に飲み干した。
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