人色-hitoiro-
奏「冗談よしてよ。
一度くらい見た事あるでしょ。」
京夜「伊織は皆とは違うから。」
九条くんは小さなため息を
ついた後、近くの塀にもたれかかる。
京夜「例えば、目の前に強盗犯がいて
困っている人達がそこに
大勢いたとしても、普通なら
自分の身の危険を犯してまで
他人を助けようなんて思わないだろ?
自分が死ぬかもしれない。怖い。
でも、ここでこの人達を助ければ
新聞なんかに載るかもしれないって
色んな事を考える。でも、伊織は違う。
悪いものは悪い。困っている人がいれば
助ける。至って、シンプルなんだ。
赤の他人だろうが親しい友人だろうが関係ない。
伊織にそれ以外の選択肢は存在しない。」