人色-hitoiro-
奏「傷を傷だと思わない?」
涼介「そうだなあ。例えば
クラスでいじめられてる子が
泣いていたとして助けてあげたいって
思っても少しは躊躇うだろ?
自分がいじめられるかもしれない。
偽善者だって思われるかもしれない。
助けるべきか助けないべきかって
感情的な部分で微妙な葛藤があったりで
なかなか行動にうつせない。」
阿久津くんは、ほんの少し
困ったような表情をした。
涼介「でも、いおは違う。
泣いている人がいたら助ける。
ただ、それだけなんだよ。
いおにとって感情は二の次で
大切なのは瞬間なんだ。
正しいか正しくないかは別にして
その瞬間が大切なんだよ。」