人色-hitoiro-
奏「九条くんは今までも
これからも伊織ちゃんの
泣き顔を見たくないと言っていた。
俺は今まで何度も伊織ちゃんの
泣き顔を見てきたのにあり得ない。
そう思ったよ。でも、あの日の事を
思い出すと納得出来た。
伊織ちゃんを好きになればなるほど
九条くんの恐れていたものの正体に
気付き始めるんだ。」
涼介「恐れていたものの正体?」
奏「あの時、俺は確かに軽蔑した。
でも、同時に美しいとさえ思った。
今日の伊織ちゃんを見て
俺はどうしようもなく腹が立った。
逃げるだなんて伊織ちゃんらしくない。」