人色-hitoiro-
自分でも笑えるくらい俺の
カメラロールは伊織だらけだった。
携帯を持ち始めた中学の頃からの
写真が沢山あった。
無意識のうちに俺はいつも
伊織にカメラを向けていたんだ。
どんな表情の伊織の事も
逃したくなくて知らず知らずのうちに
シャッターを切っていた。
何で‥今まで、自分の気持ちに
気付かなかったのか不思議なくらい
伊織の事ばかり、俺は見ていた。
京夜「木崎の事は本当に好きだ。
その気持ちは紛れもない。
でも、消えてくれないんだ。
伊織の色んな表情が消えない。
だから、ごめん。木崎。
俺たち別れよう。」
木崎は携帯を持ったまま動かなかった。
それ以上、木崎の傷付いた表情を
見るのが辛くて木崎の手から
携帯を取ると俺はその場を後にした。
木崎の返事も聞かず一方的に
別れを告げた。