人色-hitoiro-
私はボサボサの髪の毛に
帽子を被りスッピンのまま
電車に飛び乗った。
指定された駅に着くと
やっぱりそこには阿久津くんがいた。
伊織「阿久津くん、ごめん!
私、寝坊しちゃって‥‥」
慌てて謝る私をよそに
阿久津くんは小さく微笑んだ。
奏「急いで来てくれた事は嬉しいよ。
でも、せめてメイクくらいは
しておいで。これから楽しい
旅が始まるんだ、そんな帽子で
顔を隠されちゃ俺が楽しくない。」
伊織「でも、それじゃまた
阿久津くんの事待たせちゃうし。」
奏「散々、伊織ちゃんの事は
待ったから今更どうって事ない。
駅前のカフェで待ってるから
俺の事なんて何時間でも待たせていいよ。」
阿久津くんは何て優しい人なんだろう。