人色-hitoiro-

俺は何も分かってない。
本当にその通りだ。

何も言葉が見つからなくて
京夜の言う通り邪魔なのは
俺の方だと思った。

俺は昔からあの2人の間には入れない。
その絆の中には踏み込めない。

きっと誰よりもいおの事を
分かっているのは京夜だから。

止めた方が良かったのかもしれない。
いおの笑顔を守るためには
そうした方がいいのかもしれない。

でも、もしも京夜の言う通り
いおが危ない目に遭った時
助けられる人は京夜しかいない。

だから何も出来なかった。
俺は、もう二度と俺の言葉で
誰かの人生を変える事を恐れたんだ。
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